千葉大学「紫千会」のブログ!

千葉大学和楽器サークル「紫千会」のブログです。部員みんなで書いているので、ぜひ見てくださいね!

いとたけ考 7月

早いもので今年も半分が過ぎようとしています。

私の任期も折り返しを過ぎましたが、まだまだやることが多い~!

今月は部内のおさらい会として9日に七夕コンサート(通称たなコン)を行います。1年生のデビュー戦でもあるので部内はたなコンムード一色といったところです~

今月の話題なんですが、ひとまず邦楽からはちょっと離れて。

古典落語の「芝浜」という演目をご存知でしょうか?

この芝浜はなかなかの大作で、一席演じると50分かかります。三曲の大曲である八重衣や融ですら30分ですから、その倍近い長さなんですね。話の筋は古曲の歌詞と違って全部書いてしまうとネタバレになってしまいますから書きませんが、「夫婦の情愛」をテーマとしたものになっていて、笑い話というより感動できる話です。多くの落語家が演じていますが、今は亡き5代目三遊亭圓楽さんが最後に演じた作品としても有名です。

僕は前から芝浜が気になっていて、6月頭のテストが終わった休日に自室でようやく聞くことができました。せっかくだったので違う噺家のを2作品一日で聴くという、なんとも贅沢な一日を送ったわけです(笑)

話の内容に感動したのもさることながら、50分にわたる上演で1分たりとも気が反れることはありませんでした。これぞ名人芸だなと思うわけですが、話し相手を50分間ずっと飽きさせないってすごいと思いませんか?

落語を聴いていると、だいたいどの話も同じようなテンポで展開されているような気がします。このテンポこそが飽きずに話の世界に引き込まれるものなのでしょうか。

日本の文化は「間」がキーポイントになってきます。この間がいかに上手く扱えるかが上手い下手の、面白いつまらないの分かれ目だと僕は思っています。

舞台で独奏をするとしましょう。

自分としてはいつも通り演奏しているつもりでも、その時って鼓動が速くなっていることが多いんですね。すると自分が体感する「間」というのが通常よりも速くなっているのです。サークルのお稽古でよく先生が「いいか、お客さんも一緒に呼吸しているんだぞ。もっとたっぷり間を取りなさい」と指導して下さいます。お客さんは通常モードの「間」で聴いているわけですが、緊張している演者とお客さんのあいだで間がずれてしまうんですね。物理でわずかに異なる周波数をぶつけると、うなりという現象が見られますが、まさにそんなところでしょうか。

落語と同じようにお客さんに「聴かせる」演奏にするには、まず「間」の研究からしなければいけないなと思いました。

三代目桂三木助は「落語とはなにか」という問いに「落語とは絵だ」と答えました。

お客さんに情景をしっかり想像させるのも噺家の腕なんですね。

ここ何回かにわたって古典の出典背景を書きましたように、古曲にもストーリーがあります。これをお客さんに伝わるような演奏ができれば…と思うのですが、音楽である以上感性に訴えるしかありません。どんなふうに演奏すれば感性を刺激することができるのか、情景を描写できるのか…究極の目標ですよね。

古典はただ楽譜を演奏するだけでは長くてつまんないただ古い曲でしかありません。落語を台本読みながら棒読みしているようなものです。そりゃつまんないですよ。

落語を聴きながら、古典を練習するうえでの目標が新たに見つかった6月も、このブログを書いている間に終わりました(笑)

さて、2017年下半期突入ですね。