いとたけ考 5月
こんにちは('◇')ゞ
先日美女と野獣を部員と見てきた会長です。
わたくし、あまり大衆文化になじみがなかった(?)ので生まれてこの方映画館に行ったことがなく、今回なんと初映画館でした。
いやぁ~、感動感動!
ふかふかの椅子、大きなスクリーン、後ろからも聞こえるサウンド。
とても気に入りました(∩´∀`)∩
映画の内容もやはり素晴らしいですね。僕は基本的にミュージカル系が好きなので、劇中に曲が多く登場する作品をぜひとも劇場で見たいと思っていました。
朝9:05の上映だったので、見終わった後の余韻に一日中浸り、その日は何も気力がわかないという…(笑)
で、まあその翌日が新人演奏会だったんですね。去年もこのブログで結果をお伝えしましたが、もう一年経ってしまいました。この演奏会は東京近辺の大学の和楽器サークルの2年生が演奏する、一種のコンクールみたいなものです。今年は千葉大が最多出場人数の26人で出場しました。「時空を超えて」という曲を演奏し、奨励賞を受賞!みんなよく頑張ったと思います(´-`*)
さて、いろいろあった4月ですけれども、もう一つビックな日が。
それは4月10日で、山田検校没後200年という節目でした。
といっても「だれ???(´・_・`)」って反応されてしまったかもしれませんね(^^;
というか、4/1でJR誕生30周年の方がピンとくるやろ~
ゴホンゴホン、失礼いたしました。前回の記事でお箏の流派についてかなえさんが書いてくれたので、そちらを見ていただければわかりやすいのですが、箏には大きく分けて生田流と山田流があります。(細かく分けていくと、同じ生田流の中でも京流、つまり京都系や九州系で全然違ったり、山田流でも家元によって違ったりしますが、これについて言及するとややこしくなるのでしょうりゃーく!)
生田流は京都の方で発達したのに対して山田流は江戸時代中期に江戸で流行った流派です。この辺も前回の記事に書かれているので大まかにまとめてます。
で、山田検校は山田流を拓いた流祖なわけですね。
江戸では大名の妻などが人質として置かれていて、その人たちが教養科目的にみんな箏を習っていたそうで。だから山田流は江戸でとっても普及してたんです。
山田検校のことを「江戸時代のヒットメーカー」などど形容している演奏会のチラシもあるくらいですからね!
今となっては山田流は少数勢力になってしまいましたが、それでも演奏会ではよく演奏されます。
今年は没後200年ということもあって山田流の曲の演奏会が多く開かれることを予想しています。
山田検校作の曲はどれも有名で、YouTubeにもだいたい上がっていると思いますが、その中でも僕が好きなのは小督の曲です。
読めるでしょうか…?
「こごうのきょく」といいます。
平家物語に精通している人ならピンとくるかもしれません。平家物語の「小督」が題材となっている曲だからです。どんな話かというと、当時政権についていた平清盛の娘の徳子と政略結婚させられた高倉天皇は、箏の名手である小督の局が本当は好きで、また小督の局も高倉天皇を好きだったようです。ところが、清盛からすれば不愉快ですよね。自分の娘よりも小督のほうを寵愛してるんですから。
で、清盛は怒って小督を宮中から追い出します。
追い出された小督は嵯峨野の山奥に籠っていましたが、高倉天皇自身も大好きな人がいなくなってどうしようもないので、源仲国という人に捜索を命じます。
ここまでがプロローグ。曲の場面はここから先です。
季節は秋。仲国は月夜の嵯峨野の山奥で得意の笛を鳴らすと、かすかに小屋の方から箏の音が。
馬を止めて小屋を訪ねてみると、そこでは小督が「想夫恋の調べ」を弾いていました。
夫を想う恋の調べ。果たしてどんな曲なのだか聴いてみたいものですね。
最初は自分は小督ではない、人違いだと言ったそうですが、さすがは箏の名手。こんな上手い人はいないのでばれます。
で、仲国の説得でこっそり高倉天皇と逢瀬を重ねるようになりましたが、最後は清盛にばれて出家させられるという、なんとも悲しい話です。
山田流の曲は語りを主としているので、このストーリーを細かく描写しています。歌詞も出だしが「牡鹿鳴くこの山里を詠じけん」となっていますが、これは出典である平家物語と同じ書き出しです。
この小督を題材とした曲は実はほかにもあり、生田流の「嵯峨の秋」がそれになります。ただ、嵯峨の秋の方は歌詞も短く、仲国が小督を見つけるシーンをピックアップしている感じで、どちらかというと器楽曲的な部分が大きいと思います。江戸後期の作品なので箏二重奏タイプの古典曲です。
今回は山田検校に関連して曲紹介となりましたが、古曲にはストーリー性がとても豊富な曲が多くあり、なかなか調べ甲斐があるなと日々思っています。
もし興味を持たれたら聴いてみてください!