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千葉大学「紫千会」のブログ!

千葉大学和楽器サークル「紫千会」のブログです。部員みんなで書いているので、ぜひ見てくださいね!

箏?琴?こと?コトコトコト……

煮立ったシチュー?いいえ、弦楽器です。

こんにちは、かなえです。前回何も考えずに書いたけものフレンズネタ満載の記事が軽くヒットしていたようで震えてます。
「本当にけものフレンズ見てないの?」と言われることも多々ありました。見てません。見たいですとても。



さて、今回は私が紫千会で弾いている楽器、のお話です。
奥の深〜い箏ワールドを、弾いて3年目の素人なりに、簡単に書いてみたいと思います。
しっかり書こうとすると、その奥の深さゆえに筆圧がとんでもないことになってしまうので、あまり知らないよ!という方も読めるように、ざっくりざっくり書いていきますね。

……というのも、今宵(4月22日夜中〜23日明け方)はなんとこと座流星群が見頃だということを聞きまして。
そうだ、お箏についてひとつ記事を書こう!と思い立った次第です。こじつけとか言わないの。

※この記事は、Wikipediaをはじめ様々なWebページや文献を参考に作成しました。
間違いなどございましたら、遠慮なくコメントやTwitter等でお知らせください。
作曲者名などは敬称略とさせていただきました


◯そもそも、箏ってどんな楽器なの?「琴」じゃないの?
箏(こと、そう)とは、日本に古くから伝わる伝統楽器です。基本的には弦となる13本の糸が張られていますが、17本の糸をもつ17絃など、様々な種類があります。
数え方は1面、2面……となります。
箏の演奏者は、右手の親指、人差し指、中指の3本の指の腹側に、専用の爪をつけて演奏します。
爪で糸を押すように弾く、ひっかく、爪のつけていない指の腹で糸をはじく(ピチカート)などの弾き方があります。


……と、ここでこんな風に思う方もいるのではないでしょうか。
「箏って漢字、なじみがないよ。琴と書いたらダメなの?何か違いはあるの?」

お答えしましょう。ぜんっぜん違います。

確かに、テレビや他メディアなどでは、「琴」という漢字を使って、箏を表す場合が多いです。
しかし、楽器の「琴」には、箏に必要なある物がないのです。

それは「(じ)」です。
柱とは、糸をぴんと張るために用いる支柱のようなもので、柱の位置によって弦の音程が調節されます。
箏においては、奏者から見て柱の右側の糸に爪をあてて演奏するのが基本のスタイルです。
各々の糸から出したい音が出るように柱の位置を決めることを「調弦する」と言います。
そう、お箏の13本の糸は、それぞれ出せる音が楽曲ごとにあらかじめ決められているのです。
曲の中で、出せる音の範囲を広げるために、左手で柱の左側の糸をぐっと押さえて、出す音を高くすることもあります。(押手(おしで)と言います)
柱がなければ、箏は演奏できません。糸渡した、ただのでかい板です

対して琴は、「きん」と読みます。
琴という楽器は、柱を用いずに、指で弦を押さえて音程を決めます。音決めの原理としては、三絃(さんげん、三味線(しゃみせん)とも)やギターに近いんですね。


では、なぜ2つの漢字は違う楽器を指しているのに、混同されがちなのか。
それは、「琴」という字が日本において弦楽器全般を指す言葉になっているからです。
例えば、日本の元祖ギャルゲーこと源氏物語』では、登場人物である紫の上や明石の御方が「琴を弾く」と書かれたシーンがあります。が、ここで指し示された「琴」とは、琴、箏、琵琶など、当時日本で主流だった弦楽器全般のことでした。
さらに、明治時代に入って、日本に西洋の楽器が持ち込まれた時も、洋琴(ピアノ)、風琴(オルガン)、提琴(ヴァイオリン)と呼ばれていました。
「とにかく糸で音出す楽器は全部琴な!」みたいなことなんでしょうかね。なんてアバウト。

そして、先ほど箏の説明の中で柱のお話をしましたが、これもまた「琴柱(ことじ)」と呼んだり、演奏のために箏を乗せる台のことを「琴台(きんだい)」と呼んだりと、箏に使う道具にも「琴」の字が使われています。そりゃ混乱しますね。

背景には「箏」の字が常用外漢字であることも絡んでくるようですが、とにもかくにも「『こと』と呼ばれる、さくらさくらとかでよく聞く楽器」は「箏」であると覚えてくださいな!
もちろん、「琴」と書いても間違いではないのですが、個々の楽器を指すときは「箏」のほうがグッドです(o´・ω-)b
「麺類が食べたい!」と言うよりは、「しょうゆラーメンが食べたい!」って言うほうが具体的で分かりやすいよ、という風に考えていただくとよろしいかと。


余談ですが、冒頭で出した「こと座」の「こと」はおそらく「琴」を指していると考えられます。やっぱりこじつけじゃんとか言わないで!
こと座の1等星(いちばんよく見える星)のベガは、七夕のお話に出てくる織姫の星としても有名ですね。夏の大三角形を形作る星でもあります。
織姫様も、彦星様に会えない間の気分転換に琴や箏を弾いてるかもしれませんね(´ω`*)



◯お箏の流派
お箏には、主に2つの流派があります。
それは、「生田流」「山田流」です。
生田流は、江戸時代中期の箏曲家(箏、三絃、地唄(じうた、三絃を用いた音楽)の3つを扱える演奏家)である生田検校(いくたけんぎょう)を中心に、箏の奏法や調弦の取り方、爪の形が改良されたことで誕生しました。紫千会の箏奏者は、生田流の奏法で演奏します。
対して山田流は、生田流誕生より少し後の18世紀後半に、箏曲家の山田検校(やまだけんぎょう)が、江戸で大人気だった浄瑠璃の音楽を取り入れた楽曲の作曲や奏法の改良を行ったことで誕生しました。山田検校は箏の改良にも挑戦し、より大きい音の出る「山田箏」を完成させました。この山田箏は、今では生田流においても広く使用されています。

2つの流派では、使う爪の形や奏法が違うので、同じ楽曲でも、音色や楽譜の表記に違いが出ます。
「とは言っても、演奏しない側からしたら違いが分からない……」という方は、演奏を見る時に、ぜひ次の2点に注目してみてください。演奏している方がどちらの流派で弾いているのか、ばっちりわかっちゃうかも!?

①爪の形
生田流角爪(四角い爪)を、
山田流丸爪(先端が丸い爪)を使っています。

演奏家の方の構える姿勢
生田流は角爪の形を活かして演奏するために、箏に対して斜めに構えています。(基本、奏者から見て左斜め45度に構えます)
対して山田流は、箏に対して正面に構えています。

他にも細かな違いがあるのですが、まず目で見てわかる違いはこの2点ではないかなと思います。
曲を聞く時の楽しみが、ひとつ増えたのではないでしょうか?( ^ω^ )



◯お箏の楽譜はどんな風に書かれてるの?読み方は?
わたしが紫千会で習っている生田流の奏法では、楽譜が縦に書かれています。
そして、日本の漫画雑誌のように、右から左へと読んでいきます。
ピアノのように横に読むわけでも、もっと言うと五線譜が書かれているわけでもありません。だから未だに五線譜が読めなかったりするんですが
じゃあ何が書かれているのか?それは、「この弦をこんな風に弾いてください」という指示です。
お箏の糸には数字が割り振られています。奏者が座ったところから最も遠い糸を起点に、一の糸、二の糸……と続きます。
漢数字が割り振られているのは10番目の糸までで、11番目の糸は「斗(と)」、12番目は「為(い)」、13番目は「巾(きん)」と呼ばれています。
事前にしっかり調弦しておけば、楽譜で指示されている糸を探して弾くだけで出したい音が出るという、とっても親切なシステムなんです!圧倒的感謝!
楽譜には弾く糸の指示の他に、左手で糸を押して音を高くする「押し手」の指示(半音上げるときは「ヲ」、1音上げるときは「オ」と書かれています)、人差し指や中指の爪で糸を引っ掻くように弾く「搔き爪」の指示など、様々な要素が詰め込まれています。
とは言え、文章だけでは想像しづらいと思うので、こちらの動画も参照してみると、より分かりやすいのではないかと思います。

伝統音楽デジタルライブラリー 箏 「箏の楽譜」 - YouTube

いや、決して文章で説明するのがめんどくさくなったとか、そういうんじゃないですよ?違いますよ??????



◯箏の音色がステキ!な楽曲3選
これまでの説明で、箏がどんな楽器なのか、なんとなーく分かっていただけたでしょうか?
でも、お箏の世界は、たらたらと文章で説明してるだけじゃ伝わりきりません!あんだけ文章書いておいてめっちゃ矛盾してる

と言うわけで、わたしが独断と偏見を存分に発揮して選んだ楽曲を3曲、簡単な解説とともにご紹介します。
イヤホンやヘッドフォンを装着して、どっぷりお箏の音色にひたってくださいね♪L( ^ω^ )┘└( ^ω^ )」♪


・春の海(宮城道雄作曲)

Japanese Koto 春の海/Haru no Umi (Spring Sea) Composer/作曲者 Michio Miyagi/宮城道雄 - YouTube

お正月によく流れる曲として、一度は聞いたことある!という方も多いでしょう。
箏と尺八(※正確には「一寸六尺」という、尺八より少し丈の短い楽器です)との二重奏で、美しい海の風景を、箏と尺八の音色に乗せて奏でる名曲です。
この曲は、作曲者の宮城道雄が西欧の音楽に影響を受けて、それまで和楽器の世界ではあまり用いられなかった技法を駆使して、1929年末頃に作られました。海外でも広く知られるこの曲は、箏を、和楽器を、そして日本を代表する曲となっています。


・六段の調(八橋検校作曲)

箏曲 六段 - YouTube

(楽譜の項で取り上げた動画も六段の調を演奏していますが、より楽曲が聞こえやすい動画を別に選択しました。)
段物(いくつかの段からなる楽曲)のひとつで、江戸時代を代表する古典曲のひとつです。
お箏を弾く上で必要不可欠となるさまざまな奏法が盛り込まれているので、大学の和楽器サークルにおいて新入生が最初の段階で挑戦する楽曲としてもおなじみ。
紫千会でも、新入生(1年生)の合奏曲として、定期演奏会で毎年披露しています。もちろん、お箏だけでなく三絃、尺八も一緒に合奏します(*ΦωΦ)
基本の奏法がてんこ盛りなので、「六段に始まり六段に終わる」と言われるような、奥の深い楽曲となっています。
わたしも時々、やりたい曲でスランプになったら六段の調を弾いています。「あれ、これが意外とできてない!」って気付いたりするんですよね〜


・星涼之賦(川崎絵都夫作曲)

星涼之賦(せいりょうのふ) 作曲 川崎絵都夫 - YouTube

江戸時代の古典曲と、箏曲界を代表する宮城道雄の楽曲につづいて紹介するこちらは、比較的新しく作曲された楽曲です。
5つの箏パートで構成される五重奏曲です。
「箏の高音域のきらきらした音を、子供の頃夢中になって眺めていた星の輝きになぞらえて作曲しました。そして、星々を眺めている時に心に沸き上がる様々な想いをそこに託しています」(作曲者コメントより)
箏の特徴的な、時に凛と強く、時にやわらかく繊細な音を、夜空に輝く星とそのイメージに重ねて作られた、とてもロマンティックな曲です。
いま現在わたしがチャレンジしている楽曲でもありますが、あまりの音色の美しさに、つい演奏を忘れて聞き入ってしまうことも…….(ごめんなさい)
宮城道雄以降の時代に作られた曲には欠かせない、17絃も途中に登場しています。13本の絃では出し切れない部分をカバーする、独特の低音で曲のイメージをグッと広げていますので、そこも注目して聞いてみてくださいね。



さて、本当にざっくりと書いたお箏のお話、いかがだったでしょうか?
かるーい気持ちでこの記事を書こうとして色々と調べたわたしは唖然としました。知らないことだらけだったんですから。
おまけにさすがの伝統文化、歴史も長い。濃い。長いっ!!
本当はもっと書きたいことがあったんですが、泣く泣く削除しながら書き上げました。

でもそれだけ、お箏は長い歴史が作り上げて、いろんな人によって守られてきた素晴らしいものだということがよく分かりました。
知れば知るほど、演奏すればするほど美しい心に触れられるのが、お箏の、和楽器のいいところなのかもしれませんね。




ということで、本日はこの辺で。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!